「なぜあなたはここで働いているのですか?」

かつて、私はある病院の就職面接を受けました。面接官は、私の経歴について聞いたあと、私に自由に質問する機会をくれました。私は知りたかったことを聞いてみました。

「なぜ私がここで働きたいのだと思っているか、わかりますか?」

私の質問に驚いたのか、面接官は何も答えませんでした。私はもっと個人的な質問をしてみました。

「なぜあなたはここで働いているのですか? なぜ、毎日8時間もの時間を、この病院に捧げているのですか?」

面接から数週間後、その面接官が退職したことを知りました。おそらく私の投げかけた質問は、彼の人生の時間の浪費を浮き彫りにしたのでしょう。自分が時間を無駄にしていることに気づいたとき、人は選択を迫られます。変わらなければならないのは、まさに今だと。

コスモス畑
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死を意識すると時間の感覚が変わる

時間は気づかないうちに過ぎていきますが、ほんの一瞬なのに5分にも感じられるような時間や、かけがえのない特別な時間、記憶の中に永遠にとどまる時間もあります。時間は可変的なものです。

そして、少しでも死を意識すると、時間の感覚は大きく変わります。私がホスピスで一緒に仕事をした心理士は、心理療法のセッションはプライベートなものなので、普通の病院の雰囲気とはまったく異なる治療スペースを用意するべきだと考えていました。しかし、緩和ケアの患者にそんなスペースを提供するのは不可能です。

死を前にした患者は、ほかの患者やその家族もいる場で心理セッションを受けなければなりません。セッションのためには静かで清潔な空間が必要なので、看護スタッフや清掃スタッフが出入りしたり、ほかの患者がオムツを替えてほしいと言ったりするたびに、セッションは中断されます。心理士は、そのような環境では、患者が死と向き合えないのではないかと心配していました。

私は心理士にこう言いました。「心配しないで。死は、原子力並みのエネルギーをもっているから」と。

午前中に患者と死の話をしたら、午後にはもう、その患者の抱える問題は解決しています。そして、次の問題の解消へと向かいます。