私たちは、必ず死ぬ。限られた人生を、どう生きればいいのだろうか。ブラジルの緩和ケア医アナ・アランチス氏による世界的ベストセラー『死にゆくあなたへ 緩和ケア医が教える生き方・死に方・看取り方』(飛鳥新社)より一部を紹介する――。(第2回)
花園
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「死」を内省することを始めよう

死について語り、死を迎えるときの気持ちを想像し……、受けとめがたい感情の波に身をゆだねてみましょう。私の話を聞けば、あなたは黙り込んでしまうかもしれません。でも、それは必要な内省です。

あなたの内面では何かが生まれています。ときには、私の言葉から目を背けたくなって、この本を閉じてしまうかもしれません。それでも、あなたはふたたび本を開き、ときには少し後戻りしながらも、先へと進んでいくでしょう。

私たちは皆、いつかは死にます。

生きているあいだは、誰もが未来を夢見て奮闘します。いい仕事につき、恋に落ち、結婚し、子どもをもち、マイホームを買い、旅行を楽しみ、自分のあるいは誰かの人生のなかで何者かになろうとする――とても人間的な夢です。

私たちは、不確かなものだけを追い求めます。でも、誰が仕事の成功を保証してくれるでしょうか? 生涯の伴侶を得られる保証は? 子どもができるという保証は?

誰も保証できません。けれど、「死」は保証されています。

なぜ私たちは「死」を語ろうとしないのか

何年生きようが、どれだけの学位をもっていようが、家族が何人いようが、関係ありません。伴侶がいてもいなくても、子どもがいてもいなくても、お金があってもなくても、すべての人には「死」が待っているのです。

それなのになぜ、私たちは死に対する備えができていないのでしょう? 人生で唯一保証されている死について、なぜ語ろうとしないのでしょう?