プロフェッショナルとの付き合いを重視

――なるほど。ここまでいろいろなお話を伺ってきましたが、ちょうどこの記事を読んでいる読者に近いかもしれない33歳の頃に人生の舵を切り、そこから時間が経ちましたが、今なにか意識していることはありますか。

最終的には人とのつながりがすべてと思うようになりましたね。実は、もともとそんなに人付き合いが好きなほうではなかったのです。もちろん商社だったので、その後の仕事がしやすくなるようにと、ダイレクトにビジネスでつながるクライアントと飲みに行ったりすることはよくありましたが、意識的に自分を高めてくれる人と会うという行動は起こしていませんでした。

だから、最近意識していることは、“経営に関して”とか“人事組織に関して”など、いろんな業界のプロフェッショナルの人との付き合いを意識的に増やしていますね。こうした出会いからは直接なにかを得るわけではなくても、話しているうちに自分の考えが進化していくようなことがよくあります。

そして、仕事ばかりの連続にせず、きちんと休むこと。寝るときはあまり考えないようにしていますね。ただし、サラリーマン時代は会社をでるときに仕事モードのシャッターを下ろしていましたが、今は、寝る前に下ろすように変わってきてはいます。

――最後に、仕事にある程度慣れてきたけれど、かつて考えていた姿と自分は違うかもしれない、と感じている人たちになにかアドバイスをもらえませんか。

1つには目の前にあるもので成果を出すこと。これが大切だと思います。それがどんな仕事であっても、何か殻を破るきっかけになるでしょう。自分がサラリーマンであったとして、次のチャンスを待つのだとしたら、そのほうが応援してもらえる。

2つめは、自分をインスパイアしてくれる人をうまく見つけること。起業以前の私にとって、それはサークル時代の先輩であり香港の社長さんたちだったし、同じように今でも私を刺激してくる人たちがいます。“これはすごい”と思う人と話している中で何かが生まれるのだと思う。一人で悶々と考えてもブレイクしないのだと思います。

――本日はありがとうございました。

<柴田からの提言>

淡々と語られる中に事業を成長させたいという想いが見え隠れする。かつて、自分は「羊の皮を被った狼」と仰っていましたが、まさにその通り。マガシークの第二の成長期が見えてきていると思います。誰かから指示されて動くのではなく、自分の信念で動くのが好きな人は井上さんに倣って、起業を視野にいれてみては?

第三回はCATV会社の要職からBARの店主に転身した女性に登場いただきます。乞うご期待!

(柴田励司=聞き手 高野美穂=構成)