「あれもこれも思考」のすすめ

これはなにも、若者の言うことを全面的に認めましょうという話ではありません。自分では「自分の意見が正しい」と思っていても、それが「100%正しい」と決めつけるのをやめよう、ということです。

相手にも何%か何十%かの正しさがあり、双方の正しさがせめぎ合う中で議論が成立しているんだ、という思考パターンを意識する。あるいは、どちらかが正しくてどちらかが間違っているのではなく、両者が正しい可能性があることを留保する。そして、1つの問いに対して複数の回答が用意できるようになる。

私はこれを、「あれもこれも思考」と呼んでいますが、こうした姿勢は、前頭葉を老化させないためのいい習慣です。

40代から要注意「性ホルモンの減少」

実は40代に起こる身体的な変化のうち、おそらくその人の生活にもっとも幅広い面で影響を及ぼすのは「性ホルモン分泌量の減少」。つまり更年期障害が始まることです。

更年期障害といえば、かつては女性特有のものというイメージが強かったのですが、2000年代に入って漫画家の故・はらたいらさんが著書などで自身の闘病体験を語ってくれたおかげで、男性にも更年期障害があることが広く知られるようになってきました。

ひと昔前までは男性ホルモンといえば、性欲との関係で語られることがほとんどでした。男性ホルモンが減ったほうがいわゆる「枯れた」老人になれるとか、おとなしくなるとか、あるいは「浮気をしなくなるから結構だ」とさえ思われてきました。

ところが近年、男性ホルモンの研究が急激に進んだことで、男性ホルモンの減少にともない、性欲だけでなく、意欲全般が落ちることがわかってきました。男性が中高年になると人づき合いが面倒になって家に閉じこもりがちになり、「濡れ落ち葉」などと揶揄やゆされるのは、まさしくこの男性ホルモンの減少によって起きていることなのです。