高層階は「固定資産税が異常に安い」
マンションの高層階が売れる理由の一つは「固定資産税が異常に安い」ということである。
固定資産税というのは、土地や建物などの「固定資産」にかかる税金である。
マンションを所有している場合、マンション全体の固定資産税を、各所有者の所有面積割合に応じて、案分されることになっているのだ。その案分割合には、階層の違いは考慮されない。
つまり、低層階であっても、高層階であっても、所有している面積に応じて固定資産税は課せられるのである。
だが、タワーマンションの場合、低層階と高層階では、販売価格に大きな違いがある。にもかかわらず、面積比では同じ固定資産税しかかかってこないのである。
しかも、固定資産税の評価額というのは、相続税の算出基準にもなっている。固定資産税の評価額が、マンションが相続資産となった場合の評価額の基準にもなるということである。
つまり、高層階であっても低層階であっても、同じマンション、同じ面積ならば、相続税の評価額は同じになるのだ。
高層階と低層階であれば、場合によっては倍近い価格差が生じることもある。にもかかわらず、相続資産としての評価額は同じなのだ。ざっくり言えば、タワーマンションの高層階を買えば、相続税が低層階の半分になるのである。
それを狙って金持ちたちは、高級マンションの高層階を競うようにして買い求めているのである。
高級マンションは相続税対策に打ってつけ
そもそも、タワーマンションに限らず高級マンションは、相続税対策に打ってつけなのである。遺産は現金、預金で残したり、一戸建ての家で残したりするより、高級マンションで残したほうが各段に節税効果が高いのだ。
その仕組みを説明したい。
相続税とは、死亡した人が資産を遺していて、遺族が一定以上の資産をもらった場合にかかってくる税金のことである。
一定以上の資産とはどれぐらいか。それは、基礎控除額が3000万円で、法定相続人一人あたりの控除額が600万円というルールからはじき出すことができる。
遺族が二人の場合は、
600万円×2+3000万円=4200万円
となり、4200万円以上の遺産を受け取る場合に、相続税が発生する。
ところが、この遺産の評価額というのが、少し複雑な計算になっているのだ。
現金、預金などの場合は、その金額そのままが遺産の評価額になる。