国家公務員試験の申し込み者数は10年で約1万人減
官公庁を志望する若者が減っている。人事院が今年4月に発表した「2022年度国家公務員採用総合職試験の申込状況について」によると、2022年度の総合職試験への申込者数は、院卒者試験と大卒程度試験を合わせて1万5330人で、6年ぶりに増加傾向となった。しかし、総合職試験を導入した12年度の申込者数は2万5110人であったことから、約10年で申込者数が1万人近く減少していることが分かる。
ひと昔前であれば、東大をはじめとする優秀な大学生・大学院生の多くが中央省庁のキャリア職を選択肢のひとつに入れていただろう。しかし最近では、優秀な学生ほど大学在学中から起業するという話も多く聞くようになった。
若者の「官僚離れ」の原因のひとつに挙げられるのが、深夜残業が多いなど、ワークライフバランスが取りづらいとされる点だ。志望者数の減少や若手の退職増加を受け、今年4月に人事院と内閣人事局の若手官僚8人からなるチームが、持続的な職場にしていくための提言を発表するなど、霞が関の職場改革への取り組みが始まっている。
「20代成長環境」スコアを最も下げた官公庁
若者を取り巻く環境と意識の変化をひもとく上で、興味深いデータがあるので紹介したい。私が代表を務めるオープンワークでは今年5月、この10年間の社員クチコミを分析した「日本の働き方10年での変化『社員クチコミ白書』」を発表した。過去10年間で起きた大きな変化として、「働き方改革」による長時間労働と有休消化率の是正が挙げられる。
ただ今回注目したいのは、「働きやすさ」が改善された一方で、「働きがい」を構成する指標のひとつである「20代成長環境」スコアが低下したという点である。また、「20代成長環境」スコアの推移を業界別に見ると、元々スコアが高くなかった「官公庁」が最もスコアを下げていた。
この結果が示唆するものは何か。「社員クチコミ白書」や実際に「OpenWork」に投稿された社員クチコミを参照しながら、官公庁の成長環境における課題や、10年間での働き方変化、若者の意識について解説したい。