Q. あなたが「転職を考え始めたきっかけや理由」としてあてはまるものをすべてお知らせください。

SNSで「同世代の成功」が目に入ってしまう

23~26歳の若い世代、いわゆる“Z世代”はなぜ自ら描いたキャリアパスの実現に向けて焦燥感を抱くのか。その理由としてSNSが大きく影響しているのではないだろうか。

物心がついた頃から私生活もキャリアも可視化されるSNSに触れて育ったZ世代は、同級生の活躍や同世代の起業家のキラキラした日常を逐一目にする機会があり、常に自分と他者の比較を行いながら生きている。そのため、自らの成長環境や今後のキャリアパスに対する関心が高く、焦りを感じやすいのだろう。

若い世代にとって、終身雇用はもはや昔の話。2019年に経団連の中西宏明前会長やトヨタ自動車の豊田章男社長が相次いで「終身雇用は維持できない」と発言し、話題を集めた。名だたる大企業が早期希望退職を募っている状況や有名企業の倒産を子どもの頃から見てきた若者たちは、終身雇用への期待や1社で勤め上げようという意識が薄れ、自律的なキャリア構築を目指す人たちが増えているのだ。

同世代の活躍が可視化されるSNSの存在と終身雇用の崩壊により、20代を中心とした若手社員は「早く成長しなければならない」という焦りとともに、成長環境を求める気持ちを強くしているのではないだろうか。では、若者が求める成長環境とはどのようなものだろうか。

配属先を決められない「総合職」に魅力はない

ここで改めて前述した官公庁とIT業界の社員クチコミを見ていくと、20代が求めているものが浮かび上がってくる。それは一言で表現するならば、「20代のうちから他の企業でも活かせる『ポータブルスキル』を身につけるとともに、希望する職種や仕事に挑戦し、専門性を身につけていく」こと。

昨今のジョブ型雇用への若者の支持を見ると、総合職として会社に配属や異動を委ねることはもう魅力的に映らないだろう。そういう意味で、ジェネラリスト育成の傾向が強い官公庁が若者をひきつけるためには大きな変革が求められる。