菅内閣の不信任案が否決されて面目丸潰れなのが小沢一郎民主党元代表だ。

菅政権下で、ともに干されている身の鳩山由紀夫前首相と連携して菅降ろしの勝負に出たものの、土壇場で鳩山氏が首相と“談合”して不信任案反対に回り、小沢氏主導の造反劇はあえなく潰えた。

鳩山氏は“談合”での約束にもかかわらず、菅首相が政権に居座ろうとしていると激怒し、「嘘つき」「人間のクズ」と菅氏を口を極めて罵ったが、小沢グループから聞こえてくるのは「罵られるべきは“ルーピー”鳩山のほうだ」という恨み節ばかりだ。

民主党の小沢グループの代議士が怒りを抑えながら話す。

「不信任案可決は確実だったのに、土壇場で鳩山が小沢さんを裏切って、不信任案反対に回った。あいつだけは許せない」

だが、そんな人物と手を組んで、菅降ろしに躍起となっている小沢氏も見苦しい。69歳と高齢で、自らは「政治と金」の問題で刑事被告人の身。さしもの小沢氏も焦りの色は隠せない。

検察関係者が語る。

「陸山会の政治資金規正法違反を巡る小沢氏の初公判は今年10月頃とみられている。政治資金の虚偽記載があったか、あるいは小沢氏と元秘書との共謀があったか、という2点が争われるが、争点が少ないことから、早ければ来年1月中にも判決が出るのではないか」

小沢氏の裁判に先行して行われている元秘書3人の裁判は6月1日に証拠調べが終了し、7月20日に検察側の論告求刑が行われ、秋には判決が言い渡される。

元秘書の裁判を傍聴している司法記者は判決についてこう話す。

「公判中、元秘書3人のうち、とくに石川知裕衆院議員に裁判官が執拗に質問していたのが印象的だ。石川被告は陸山会が深沢の土地を3億5000万円で購入したとき、売買交渉や政治資金収支報告書作成の実務を担当していた。裁判官の質問が集中したのは、土地購入のための手持ちの現金があるのに、それを使わず銀行に預金担保を組むという複雑極まる手法を取ったこと。石川被告は繰り返しそのことを聞かれたが『合理的な説明はできません』とうなだれるばかり。石川被告は苦しいでしょう」

小沢裁判の前に石川被告らが有罪判決を受けるようなことになれば、小沢氏は窮地に立たされるだろう。