「まったく不謹慎極まる話だが、最近、官邸内で菅直人首相は“菅燃料”と呼ばれている。すぐに怒りに火がついて周囲に当たり散らすことからきています。首相秘書官をはじめ民間から来た内閣参与にまで八つ当たりするほどで、官邸内ですら“もう、この人とはやっていけない”という空気が漂っています」(官邸スタッフ)

菅首相に「サミット花道論」が囁かれている。首相は、東日本大震災と福島原発事故の対応を巡って与野党から厳しい批判を浴び、官邸内からも首相を守ろうという声は聞こえてこない。政界では「6月末閉会の今国会を菅首相が乗り切るのはもはや不可能」(民主党代議士)との見方が大勢で「5月26、27日のサミットに出席し、それを花道に内閣総辞職するしかない」(同)というサミット花道論が取り沙汰されているわけだ。

首相本人は「震災復興は自分の宿命」と公言して退任を否定。6月下旬に予定されている訪米に意欲を示しているが、首相退陣に向けて外堀は埋まりつつある。

「統一地方選の惨敗を受け、民主党内でも“菅ではダメ”という声が支配的。首相が辞めないなら民主党の両院議員総会で小沢グループなどが菅氏を党代表から解任する決議案を出し、それに合わせて自民党が参院に首相問責決議案、あるいは衆院に内閣不信任案を提出することになるでしょう」とは別の民主党代議士の弁。

「参院は与野党が逆転しているので、首相問責決議案は可決される。問責決議案に法的効力はなく辞任の必要はないが、参院は審議がストップするので法案は一本も成立しない。内閣不信任案が成立すれば、首相は内閣総辞職か衆院を解散し総選挙を断行せねばならない。が、大震災の混乱が続く中、解散・総選挙など不可能。首相の解散権は封じられており、退陣は時間の問題です」(同)

だが、最大の問題はポスト菅が見当たらないこと。小沢一郎元代表と前原誠司前外相は政治とカネの問題で蟄居中。閣僚の野田佳彦、鹿野道彦、玄葉光一郎の3人はいずれも「力不足」との声が強い。「民主党長老が仙谷(由人官房副長官)総理、大島(理森自民党副総裁)副総理でどうか、と自民党にもちかけているが、反小沢の仙谷氏では民主党がまとまらない」(同)。政界の五里霧中は続く。