大型プリンターの営業を担当する伊藤久美子。

このとき、上司のマネジャーが相手先に、これまでの経緯や伊藤の誠意などをしたためた手紙を出してくれた。これによって、逆転受注することができたのである。

ほかにも、「ブラザー」「シスター」という先輩によるサポートシステムに助けられて、「仕事が楽しくって仕方なかった」伊藤は営業の力を着実に上げていった。

その伊藤は05年に社内結婚し、翌年秋に出産する。産休と育児休職を合わせて1年4カ月ほど会社を休んだ。職場復帰するに際して、初めての育児だったこともあり、「前よりも楽な仕事に就かせてもらおうか」と悩んだ。しかし、上司の一言で吹っ切れたという。

「せっかく大変な思いをして復帰するのだから、やりがいのある仕事に就かないと」

伊藤は営業職に復帰するが、当初は保育園に行き始めた子供が病気がちになり、「お客さまへのアポイントを取るのも怖かった」という。当時は、顔の肉が落ち、ゲッソリとやせ細った。

それでも、周囲の理解と助けを得て仕事を続けた。現在は2時間の勤務時間短縮を利用している。

「今また仕事が楽しい。自分の成長が感じられるようになって、やりがいも増してきました」