既婚の子どもが親の財産の話をするときは要注意

長らく日本でお金の話はタブー視され、親も子に心配をかけさせないよう、家の資産状況を詳らかにしてこなかったと思います。しかし、今では金融業界の中でも「親の財産の見える化」は課題事項。なぜなら、谷川さんのようなケースで損害を被るのは私たち現役世代だからです。

親の資産を早くから把握できていれば、自分で貯蓄をするなり、親に保険に加入してもらう、生前贈与について話し合うなど、何らかの対策が可能です。いまは「親と子のための相続セミナー」といったイベントが開催されているので、カジュアルに参加できる機会を利用し、会話のきっかけづくりに役立ててほしいと思います。

ただ、既婚者の方が親と財産について話そうとすると、「婿(嫁)がうちの財産を狙っているんだろ!」と警戒されてしまう場合も。私のお客さまにも、シングルマザーになって突然親のガードがゆるくなり、親から財産分与について話をされた、という人もいます。

ちなみに私は、父を早くに亡くして母子家庭で育ってきていることもあり、お金に関しても昔からフルオープン。母の財産は私がすべて管理し、年金も保険もすべてコントロールしています。いまは自分の小学生の子どもにも、お金の話を積極的にするようにしています。

詐欺被害に遭わないためにもお金のリテラシーは欠かせない

高校の授業で金融教育が始まったように、現代の子どもたちは早くからお金の仕組みを学びだしています。そもそも、未就学児からデジタルツールでアプリなどに触れているいま、課金に引っかからない、投資詐欺を防ぐといったお金のリテラシーの醸成は急務でしょう。また、税金などを知ることは、社会の仕組みを考えることにもなります。

そうして小さいときからお金の話ができる関係性が築ければ、老後のお金についても親子で言いやすいでしょうし、それがお互いにとってのリスクヘッジにもなります。

谷川さんのように、「うちは裕福だから」と皮算用した結果、自分の人生が大きく変わってしまうこともあります。独り善がりの「希望的観測」でなく「対話」を大切にして、親子で資産状況を確認していきたいですね。

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