揖保乃糸はどの製麺所が作っているのか

揖保乃糸はひとつの製麺所が作っているわけではありません。どこかの工場で大量生産されているわけでもありません。

揖保乃糸の食品表示上の製造者は兵庫県手延素麺協同組合。ただ、実際に作っているのは同組合に所属する約400軒の生産者です。

それぞれが厳格なレギュレーションに則って、揖保乃糸用のそうめんを作っています。これらが同組合に集められ、検査・保管され、パッケージングされて出荷されていきます。

素麺組合システムを採っているのは揖保乃糸だけではありません。手延べそうめんにおいては、日本全国に似たような素麺組合がたくさんあります。

【図表3】生産者と素麺組合の関係
筆者作成

もちろん素麺組合に所属していない生産者もいます(図内、生産者A)。また、素麺組合用にそうめんを作りつつ、独自ブランドのそうめんを作って販売している生産者もいます(図内、生産者C)。

では、なぜ素麺組合が存在するのでしょうか。

そうめん生産者のほとんどは家族で営まれているような小さな製麺所です。こうした製麺所が単独で小麦を仕入れ、作ったそうめんを単独で販売することがとても難しいという事情があります。

ですから、同業者が集まり組合を組織して、原材料を大量に仕入れ、製品をまとめて大量に販売するのです。これにより仕入れや販売にかかるコストが下がります。

また、小さな製麺所がそれぞれ商品を販売するよりも、地域でまとまったほうがブランディングという意味でも有利です。まさに揖保乃糸がその成功例でしょう。

「手延べ」のゆで時間は短いほうがいい

商品パッケージの裏面には調理方法が記載されています。機械麺の場合はこれに従うのが1番です。ゆで時間も記載通りがいいでしょう。

一方、手延べそうめんの場合は、あくまで私の好みですが、記載されているゆで時間よりも15~30秒、時には1分ほど短い方がいいことが多いです。

ゆで上がったそうめんは、すぐに流水・冷水で洗います。これは麺を締める以外に、表面に残っている塩分や油分を洗い落とすという意味もあります。

ひと口目は何もつけずにそのまま食べてみてください。食べ比べると、コシ(歯切れ)や風味が違うということがわかります。

あとはお好みでどうぞ。麺つゆにつけてシンプルに食べるもよし、洋風・中華風にアレンジするもよし。

アレンジに関してですが、普段、ご飯やパスタに合わせているものは、そうめんにもだいたい合います。こう考えると、アレンジの幅がグッと広がるんじゃないでしょうか。