自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つ
まとめて「自律神経」といわれることも多いのですが、自律神経はさらに「交感神経」と「副交感神経」の2つから成り立っています。「副」とついているからといって、交感神経がメインで、副交感神経がサブというわけではありません。
交感神経と副交感神経の関係は、車の「アクセル」と「ブレーキ」にたとえるとわかりやすいと思います。
アクセルの役目をするのが交感神経。アクセルを踏むと車が一気に加速するように、交感神経が高まると血管がキュッと収縮して心拍数や血圧が上昇します。すると気分が高揚し、体がアクティブな状態になります。私たちが活動しているときや、ストレスを感じているときには、交感神経が優位になっています。
一方、副交感神経はブレーキ役で、副交感神経が高まると血管がゆるみ、心拍数や血圧が低下して、全身をリラックスした落ち着いた状態に向かわせます。夜、眠っているときや、休息をとっているときなどは、副交感神経が優位になっています。
心身の健康を維持するアクセル役とブレーキ役
交感神経と副交感神経の関係は、天秤あるいはシーソーのようだと表現することもできます。交感神経が高まる(優位になる)と自然に副交感神経の働きは低くなり、副交感神経が高まる(優位になる)と交感神経の働きが低くなります。
この2つの神経は、交互に優位になることでバランスを保っています。そして、そのバランスは主に副交感神経が上下することでとられています。
車を運転することにたとえれば、アクセルだけを踏んでいたら、車は暴走し事故を起こしてしまいます。一方、ブレーキを踏み続けていたら、車は動くことすらできません。両方を適切なときに適切な強度で機能させることで、私たちは安全に車を運転することができます。私たちの体と心も、これとまったく同じです。
自律神経は車の運転と同じように、アクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)のバランスを絶妙に保つことで、心身の健康を維持する役割を果たします。交感神経と副交感神経のどちらが過剰に優位になっても、バランスが崩れてしまえば、心身の健康を正常に維持することは困難なのです。
心身のトラブルの原因となる「自律神経の乱れ」とは、このアクセルとブレーキのバランスが崩れた状態を意味しています。
交感神経は日中、副交感神経は夜間に優位になる
交感神経と副交感神経は、1日24時間の中で、一定のリズムを持って働いています。
体を活動モードにする交感神経は、明け方から優位になり始め、昼をピークに夕方に向かうにつれて徐々に低下していきます。
一方、体をリラックスモードにする副交感神経は、夕方からゆっくりと上がり始め、夜に向けて優位になっていき、睡眠に向かいます。その後、夜中にピークとなって、明け方に向かうにつれて下がっていきます。
このようにして人間は、昼間は体を動かし、夜になると休息をとるというサイクルを繰り返しているのです。