「軟銀」という言葉をご存じだろうか。中国語でソフトバンクのことだ。中国では、同社のヤフーに対する投資は神話的に語られており、日本一の金持ちと言われる統帥・孫正義氏も成功者として認知されている。

しかし、日本で暮らす私は以前から、日本での孫氏に対する評価に温度差を感じていた。そのことが本書を書評に取り上げる動機となった。本書は、戦前に船で日本に渡った祖父母のストーリーから現在に至る「孫正義伝」だが、その中で孫氏がいまだに在日韓国人ゆえの差別を受けている現実が描かれている。

「ソフトバンクが個人情報漏えい事件を起こすと、世界中のテレビにまで放映されて、新聞の一面トップでがんがんやられる」。しかし、日本の伝統的な大企業が同じ事件を起こすと「新聞に2、3回載るだけで、人間は誰でも間違いがありますぐらいで済まされちゃう」。