アレからもう1年たってしまった。日本各所で犠牲者に対する鎮魂とともに、政府や東電の責任、原発の再稼働問題、復興の実態などについての議論が延々と続いている。しかし、その多くの議論は賛否それぞれの立場に分かれ、議論することを目的としてしまっているような印象だ。いまこそそれぞれの現場で何が起こっていたのかを改めて掘り起こし、そこから議論を始めるべきなのである。日本のIT部門として、それだけはやっておこうとコンピューターテクノロジー編集部が送り出した本書は、みごとにその役割を果たしている。グーグル、ヤフー、ツイッター、アマゾン、Ustream、ニコニコ動画などが災害発生直後にどのように動いたかをまとめているのだ。

本書冒頭に登場するグーグルでは地震発生から2時間で「パーソンファインダー」、3時間で「震災特設サイト」を開設し、その後72時間以内に避難所マップや避難所名簿共有サービス、自動車・通行実績情報マップや被災地の衛星写真などを公開している。本書はこの膨大な作業開始をどのように決断し、実行したかをレポートする。