「サンキューハザード」に潜む事故リスク
最後に付け加えたいのは、「合図は最小限にする」ということだ。
もちろん車線変更はその3秒前からウインカーを点けるとか、右左折の場合には30m手前からウインカーを点ける、夕方は早め(日没前)にヘッドライトを点けるという道路交通法を遵守することは大前提として、その他の余計な合図は出さないドライバーがいい。
例えばホーン(警笛(※))は、お礼のプッ、挨拶のプッ、威嚇のプップーーーーッと鳴らすドライバーがいる。こういうドライバーはホーンの使い方を間違えている。あくまでも危険が迫っていてそれを避けるために使うのがホーンなのだ。
※筆者註:「クラクション」はフランスのホーン製造会社名(Klaxon)の名残で、道路交通法では警音器と呼ぶ。海外ではクラクションでは通じないがホーンは通じる。
ハザードランプの使い方にも間違いがある。「サンキューハザード」などと呼ばれ、クルマの前に入れてくれたときに出すお礼のハザードが広まっているが、ハザードランプの片側だけ見た後方のドライバーはこちらの車線に出てくるウインカーかと勘違いする。
街中では、タクシーが止まる前に走りながらハザードを点けるのを見かける。これも間違った使い方だ。タクシーは止まるためのハザードだと思っていても、後ろのクルマはお礼のハザードだと思ってそのまま走行する。すると急にタクシーが止まって、衝突事故につながることもある。
パッシングライトにも注意が必要だ。右折車が直進車の通過を待つシーンで、直進車がパッシングライトをピカピカッと点けたら、「出てくるな」という意味と「お先にどうぞ」という2つの意味に取れる。これも誤解を招くので使わないほうがいい。
つまり他の意味にとれる合図はしないのが正しい運転なのだ。ぜひ気をつけてほしい。