※本稿は、遠藤正之『金融DX、銀行は生き残れるのか』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
「決済回数が月2.6億回」PayPayの急成長
2019年11月18日、ヤフーの親会社であるZホールディングスとLINEが2020年10月に経営統合することとなった。その結果、PayPayとLINE Payが同一資本傘下となった。最終的に、2021年10月以降はLINE Payのオフラインでの加盟店の新規募集は停止となった。
一方、PayPayは着実に成長し、2021年9月現在、利用者数4200万人超、加盟店数344万か所超、決済回数2021年上期の月平均2.6億回超となっており、QRコード決済での圧倒的なシェアを獲得する結果となった(※) 。
※2022年4月の発表では、利用者数4700万人超、加盟店数366万カ所超、決済回数2021年下期の月平均3.1億回超と、さらに増えている。
資本力でシェアを獲得したPayPayとは対照的に、QRコード決済の草分け的なフィンテック企業であったOrigamiが、メルペイに1株1円で全株式を譲渡して統合されることが2020年1月23日に発表された。「Origamiショック」といえる決済スタートアップ企業の挫折であった。
KDDI×Ponta、ドコモ×メルペイ…大手が次々に提携
2019年11月のZホールディングスとLINEの経営統合は、ユーザー基盤としてはヤフーの6700万人とLINEの8200万人が合体するものであり、他の通信系大手であるKDDIやNTTドコモにも合従連衡を引き起こした(図表1)。
従来ヤフーとTポイントが提携していたが、この経営統合により、陣営の共通ポイントもPayPayボーナスに統一していく。2021年12月にヤフーは、2022年4月以降、TポイントがPayPayボーナスに変わることを発表した。
KDDIは2019年12月16日、9300万人超の会員を持つといわれるPontaポイントを運営するロイヤルマーケティングに20%を出資することで、QRコード決済では後発のau PAYを強化した。
NTTドコモは、2020年2月4日にメルカリ・メルペイと業務提携を行った。dポイント会員7300万人とメルカリ会員1500万人の会員基盤が合体することを狙ったものである。