総合的にみると「不活発化」していると言える

このように、原因についてはまだ推測の域を出ない状態ですが、若者の性行動の不活発化はデータから見て明らかです。先ほどの日本性教育協会の調査結果は非常に明確であり、数十年の変化を追うことができる貴重なデータで、信頼度も高いのではないかと思います。

話を2022年版男女共同参画白書に戻すと、「20代男性の4割がデート経験なし」という調査結果からは、これまでの人生の中でのデート経験率が日本性教育協会の2017年調査からさらに下がった可能性が伺われます。日本性教育協会の調査対象は大学生までの若者ですが、この調査も白書で参照されている調査でも「“これまでの人生で”」の経験を尋ねているので、20代男性のデート経験率が低いという結果は、2017年時点での大学生の経験率低下が背景にあると考えても無理はありません。

概して、人々の行動の長期的変化については複数の調査データをみて総合的に判断すべきです。というのは、数値というのは人々の実際の行動をシンプルに表す以前に、調査の設計や集計方法によって「作られる」ものだからです。つまり数値は、個々に「クセ」があるのです。

その意味で国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査・独身者調査」は参考になります。分析したところ(参考)、やはり全体に占める「結婚経験・恋人なし」の割合は20代では2002〜2005年以降上昇傾向にあり、「若年層の性行動の不活発化」というこれまでみてきたデータと整合的であると判断できると思います。