1500人対60人逆境を跳ね返すMR戦略

<strong>沢井製薬代表取締役社長 澤井光郎<br></strong>1956年、大阪市生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科修了、82年協和発酵工業入社。<br>89年沢井製薬入社。2005年専務。08年6月より現職。<br>大阪府出身。51歳。同社相談役・澤井治郎氏の女婿。
沢井製薬代表取締役社長 澤井光郎
1956年、大阪市生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科修了、82年協和発酵工業入社。
89年沢井製薬入社。2005年専務。08年6月より現職。
大阪府出身。51歳。同社相談役・澤井治郎氏の女婿。

沢井製薬は4月1日付で、社内組織を見直し、「信頼性保証本部」「戦略企画部」を設置。ジェネリック医薬品の品質を高め、医療機関や薬局にジェネリック医薬品の販促の体制を整えた。

澤井光郎社長は、ジェネリック医薬品の普及には地道な営業努力が欠かせないと指摘する。

「国が医療制度改革を進めるだけでは、多くの患者さんにジェネリックを体験してもらうのは難しいわけです。やはり、医療の現場の意識改革を促さなければなりません。それは医師であり薬剤師の方たちです。そこに働きかけるのが、営業の第一線で活動するMRなんです」

MRとは、医療機関をこまめに訪問して、医薬品の情報をやりとりする製薬会社の医薬情報担当者のこと。以前は「プロパー」と呼ばれ、医師への高額接待、不透明な寄付などの過剰な営業が問題になった。病院の待合室で診療時間の合間に、スーツ姿で医師のもとへ日参する光景を見たことのある人も多いだろう。

医学的な国家免許を持たないMRが、医師や薬剤師へ医薬品の説明をすることは奇異に感じられるが、その影響力は絶大だ。あるMRが訪問したその瞬間から医師の処方がガラッと変わることもあるという。平均年収700万~1000万円の高給取りの新薬メーカーのMRが薬価を引き上げているという指摘もある。

沢井製薬には現在、322人(08年3月末)のMRがいる。それを、07~09年を当該年度とする中期経営計画では、およそ400人にまで増やしていく。従来の地域担当MRのほかに、この4月からDPC病院を専門に訪問する病院課MRを配置し、この両者が連携を図りながら、より効率的な営業を展開する。

DPCとは、病状や治療法ごとに入院基本料、検査、投薬など1日当たりの費用を決める制度。通常、医薬品は使っただけ医療費を請求できる出来高制だが、定額制のDPC病院では、コストを抑えなければ収益が上がらないため、ジェネリック医薬品普及のカギを握ると考えられ、最重要病院と位置づけられている。