営業の陣頭指揮を執るのが常務取締役、営業本部長の岩佐孝氏だ。

「営業のターゲットは、DPC病院と診療所、そして保険薬局と3つあり、いずれも新規開拓・深耕作戦を展開していきます。保険薬局については、医薬品卸のMS(営業担当者)との連携を密にしながら、納品時の訪問を強化し、信頼構築を図る。MR1人当たりの訪問件数も増えていくので、無駄な動きは許されません」

自社製品を少しでも多く医師に処方してもらい、薬剤師に選んでもらうには、日々足を棒にして担当先を回るしかない。それを怠れば、岩佐常務のいう信頼構築も絵に描いた餅になってしまう。昔ながらのドブ板営業は欠かせない。

横浜営業所 リーダー <strong>高橋憲一<br></strong>神奈川県の激戦地区の病院や薬局を担当。「物価高のせいか、処方を受けた薬をもらわずに帰る患者が増えています」。
横浜営業所 リーダー 高橋憲一
神奈川県の激戦地区の病院や薬局を担当。「物価高のせいか、処方を受けた薬をもらわずに帰る患者が増えています」。

同社横浜営業所のリーダー、地域担当MRの高橋憲一氏も、そうした1人だ。この営業所に配属されて7年になる。13人のMRの1人として、主に神奈川県川崎地区をカバーしているが、ここは県内でも有数の病院やクリニックがひしめき合う激戦地区だ。

「私の担当エリアは、病院と開業医だけでも数百件ありますから、1カ月ぐらいでは、とてもすべては回り切れません。そこで、病院や薬局を取引状況でランク付けして、優先順位の高いところには、なるべく顔を出すようにしています。いま、力を入れて説明しているのはジェネリック医薬品の導入メリットです。医療機関にしても、患者さんに喜ばれることはプラスになるはずです」

こう話す高橋氏の横で、東京支店病院課リーダーの松浦正武氏は、しきりに肯いている。松浦氏自身、病院課MRに任命される前は、地域担当MRだったから、その苦労は痛いほどわかる。

4月から松浦氏は、25カ所のDPC病院を受け持ち、自社製品の情報提供と売り込みに余念がない。基本は月2~3回の定期訪問だ。以前から顔見知りで、関係を深められたところもあれば、まだ新規開拓の段階という病院もある。