男性が育休ですることは、女性と同じ

ところで、「マイクロアグレッション」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 最近よく使われるようになった言葉で、意図しないほどの小さな攻撃、先入観、差別のことです。「男の子なんだから泣いてはいけない」とか「女の子は勉強を頑張らなくてもいい」といったようなことは、いくら本人のためを思って言ったのだとしても偏見ですし、よくないことですね。また「アンコンシャスバイアス」という言葉もあります。無意識の偏見や決めつけのことです。

子育ての中でも「男性が育休を取って何をするの?」、「子育てを手伝ってくれているお父さんに、お母さんは感謝しないといけませんね」というようなマイクロアグレッション、アンコンシャスバイアスがずっと以前からありました。父親が育休を取って行うことは、母親が育休を取ったときと同様に「育児」に決まっていますし、本来、育児は両親が共に行うものです。父親の子育てのことを「女性の仕事を男性が手伝っている」というのはおかしいですね。

ピンクの床に置かれたベビー用おむつによりかかっているテディベア
写真=iStock.com/Rawf8
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両親揃って子育てする時代はそこまで来ている

幕末から明治時代に日本に来た外国人たちは、日本人はとても子供をかわいがると書き残しています。父親が子供を肩車や抱っこで何かと面倒を見ながらどこにでも連れて行く様子、年長の男の子たちがそれぞれに妹・弟を見せ合って自慢し合う様子などについて書かれたものを読むと微笑ましく思います。日本の子育ての伝統は、いつの時代のどこを切り取るかで違います。少なくとも「男は外で仕事、女は家庭」は、日本でずっと続いている伝統とはいえません。たとえ伝統だったとしても必要に応じて変えていくべきですし、両親共に同じように子育てをする時代になってほしいです。

そして、両親共に子育てする時代は、もうそこまで来ているのではないでしょうか。その証拠に、小児科外来に来るお父さんは増えていますし、様々な若いお父さんたちは子育てについて積極的に関わっています。たとえば、タレントのryuchellさんは、旧来のアンコンシャスバイアスなしで、夫婦の役割分担をしている様子やお子さんとの関わり方をよく話していますね。テレビや雑誌のインタビューで、「家事育児で“手伝う”ではなく“シェアする”感覚を持つべき」などと発言していて、よくSNSで評判になっています。