若い女性がチヤホヤされないドイツ
ドイツの年齢肌用の美顔クリームの広告では、皺の多い女性がモデルさんであることが少なくありません。ドイツには「年齢を重ねているのに皺が少ないのは不自然だ」という考え方があり、あくまで自然な美しさが追求されるからです。「女性が若く見えること」は日本ほど重要視されていないのです。
日本のメディアでは「美魔女ブーム」をみても分かるように、年齢を重ねても若く見える女性がよく話題になります。「若く見える」だけでなく「実際に若い」女性はさらにチヤホヤされがちです。日本のアイドル文化はその最たるものだといえるでしょう。
筆者が日本に来た20代前半のころ、ドイツにいた時と比べて、周りがチヤホヤしてくれることが新鮮でした。男性だけではなく、年上の女性からも「若くっていいなあ~」「若いと色んな経験ができるからいいね!」「貴女を見ていると若い時に戻りたいなあ」などと言われたものです。
もちろん社交辞令である場合もありますが、その根底には「女性が若いことはよいことだ」という共通認識があることもまた確かなのです。
ただ当時「せっかく若いんだから自分をもっと高く売りなよ」「今が一番女性として価値が高いんだから」「ギャラ飲みとかすればいいのに」とも言われ複雑な気持ちになったものです。
日本女性にかけられた若さの呪い
そこには「今の若い貴女には価値があるけれど、それは一瞬のうちよ。それをちゃんと自覚してね」というメッセージが込められていた気がします。まさに桃色吐息(歌詞「金色 銀色 桃色吐息 きれいと 言われる 時は短すぎて」)のような世界です。
筆者がドイツにいた頃、そういった褒め方をされることはありませんでした。ドイツでは人を褒める際に「若さ」に言及する習慣はないからです。それが関係しているのか「若い女性とデートしたい」と考える男性もあまりいない印象です。
女性が若いからといって「チヤホヤ」は味わえませんが、人生を長いスパンで考えると、そのぶん女性として生きやすいともいえます。なぜなら、ドイツでは若い女性に対しても、年齢を重ねた女性に対しても、扱いにさほど差がないわけですから。