一方、特化型銀行は評価される理由が明確だ。例えばこの部門で1位になったイーバンク銀行は、ネット専業だけあって、ネット取引との親和性が非常に高い。同行に口座を開設しているネットショップは多いが、2010年1月まで同行間振込手数料が無料だったため(3月から資産残高や利用状況に応じて無料になるプログラムを開始)、とくにネットショッピングのヘビーユーザーからの支持が厚い。都銀がなんとなく選ばれているのに対して、まさに明確な目的意識を持って選ばれたわけだ。
新生銀行も、振込手数料無料が人気の一因だ。インターネットバンキングなら他行あてでも振込手数料が月1回無料になる(利用商品・残高によっては月5回または月10回)。
海外出張が多い、海外送金の機会が多いという人は、シティバンクに好印象を抱くかもしれない。さらにPCよりモバイル派という人には、ケータイに特化したじぶん銀行のサービスが魅力的に映るに違いない。いずれにしても特化型銀行は、漠然とした理由ではなく、際立ったバリューで選ばれていることはたしかだ。
とはいえ、給与振込先の多くが都銀や地銀であることを考えると、特化型をメーンバンクにしている人はそう多くないはず。給与振込先をメーンバンクとしつつ、用途に合わせて特化型を使い分ける利用形態が最近の傾向ではないだろうか。
※すべて雑誌掲載当時
(宇佐見利明=撮影 ライヴ・アート=図版作成 <マーケッターの眼>小野譲司/村上 敬=構成)