ウクライナ戦争でロシアは不凍港を失った

というのも、「モスクワ」が就役したのは1983年で、ソビエト崩壊後の1999年にウクライナ南部クリミアにある軍港セバストポリを拠点とする「ロシア黒海艦隊」の旗艦となって以降は、2008年の「ジョージア(グルジア)侵攻」、2015年の「シリア内戦」にも派遣されたロシア海軍の主力です。つまり、「モスクワ」を失うということは黒海の制海権を失うことを意味します。

加えて、黒海とエーゲ海・地中海を結ぶボスポラス海峡をトルコが「有事」であると宣言し閉鎖しているため、ロシア・ウクライナ両軍は外洋に出られなくなっています。また、本来“中立の海”だったはずのバルト海も、スウェーデンとフィンランドがこれまで保っていた中立国の立場を捨て、NATO入りに動き出したため、不凍港のバルト海も使い勝手が悪い状況にあります。

こうした状況を打開するために、ロシアは不凍港を求め、北海道北端の宗谷海峡や津軽海峡、北海道に侵攻するという話が実際にあるそうです。

また別の人は、「北海道を爆買いしている中国人も北部の土地にはあまり手を出していない。なぜならロシア軍が北海道を侵攻するリスクがあるからだ」と、まことしやかに話していました。真偽のほどはさだかではありませんが、非常に興味深い話です。

ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮の存在感

“日本の脅威”で忘れてはならないのが、北朝鮮の存在です。中ロにとってタイミングの悪いときにミサイル発射実験を繰り返し、核保有国であることを主張する北朝鮮は迷惑な存在でした。少なくとも中ロにとっては負担となる時期のほうが長かった。

東アジアのマップ
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しかし、最近はむしろ両国の軍事作戦上必要な国になったのではないでしょうか。つまり日本及び韓国、そしてアメリカが北朝鮮の動向に気をとられていれば、中国への警戒が手薄になり南シナ海や東シナ海での活動がしやすくなる。ロシアにとっては北海道での活動がしやすくなるのです。

北朝鮮は、国連のロシア非難決議でも中国の棄権という玉虫色の判断に対し、「否決」とはっきり態度を示しました。トランプ政権で米朝関係の改善が進みそうになりましたが、バイデン政権でご破算となったことも中国、ロシアにとっては都合がよかった。欧米の強烈な制裁によって世界地図がはっきりと二分される事態になれば、間違いなく北朝鮮は東側につく。そして、北朝鮮はイランとも関係が深い。

北朝鮮のような国に核の威力を再確認させたのは非常にまずいと言わなければなりません。

もう一点、日本ではあまり議論されていませんが、韓国の存在です。