ロシア軍がウクライナの次に向かうのは北海道
【石平】そこで私は、少し刺激を与えるような予測を言いたいと思います。
2022年2月24日のロシアのウクライナ侵攻から2カ月が過ぎたわけですが、当初プーチン大統領が目論んでいた“電撃作戦”は失敗に終わった。欧米諸国の武器支援に支えられているとはいえウクライナ国民の超人的な抵抗は続き、長期戦の様相を呈し始めている。少なくともウクライナを超えてNATOを正面から突破する力はロシアにはないし、する気もない。
しかしプーチンは国民に向けてどこかでこの劣勢を挽回する姿をみせる必要がある。そこで西側に向いていたロシア軍を急転回させて手薄な極東を攻める可能性があるのではないか……。
つまり狙われているのは日本の北海道です。
実際、ロシアの政党「公正なロシア」の党首であり、10年近く上院議員長を務めた大物政治家のセルゲイ・ミロノフは「ロシアは北海道の権利を有している」と党のホームページで表明したといいます。
もしプーチン大統領が習近平と本当に手を結んでいるとしたら、手負いのロシアがいま中国にできることは何か? 経済力がないので、あとはエネルギーと軍事協力しかない。台湾併合への野望を隠さない習近平主席にとって、ロシアの北海道侵攻は、北方と南方に自衛隊と米軍を分散させ、二正面に追い込むという意味でまたとない格好のアシストになりえます。
サハリンから稚内までは目と鼻の先の距離
【エル】今のお話は十分想定できることです。プーチン大統領にとって極東政策は積年の課題であり、ウクライナ戦争の戦況を問いません。大陸国家ロシアにとって極東は“太平洋の玄関口”といって過言ではない。ロシアがアジア太平洋に進出するためには、この地域の開発と統合が必要ですが、実際はほとんど進んでおらず、日本と同様少子高齢化と人口流出により過疎化が進んでいます。サハリン南東のコルサコフの沖合から稚内までは40キロと目と鼻の先の距離にあり、ロシア軍による北海道侵攻は今日まで日本にとって脅威であり続けています。
4月14日にロシア国防省は黒海艦隊の旗艦「モスクワ」の沈没を発表しましたが、これによりその脅威がますます高まりました。