今後20年間はいまより苦しい社会保障負担がのしかかる

そして、おそらく2036年には日本以上に少子化・高齢化社会にあえぐ国が東アジアで続発し、また、2040年から2042年が日本の高齢化人口のピークであって、その翌年から、空前の医師あまり、過剰な社会保障の状況へ逆回転し始めます。非常に苦しいこの20年を日本がどうしのぐかが喫緊の命題であるだけでなく、実際のところ、いまより苦しい社会保障負担を向こう20年は担うことになります。

ちょうど、東京新聞が「防衛費5兆円がなくなれば、何に金が使えるか」とキャンペーンを打ち、盛大に馬鹿にされるという事件がありました。それなら東京新聞が受けている軽減税率がなくなればこれから生まれる80万人の赤ちゃんに400円分の無料おむつ券が配れる財源になるじゃないかと思うのですが、実際には、年金60兆円、医療40兆円という途方もない社会保障費が半減すれば、日本社会で必要とする政策のほぼすべてが自在にできるような財源になります。

しかし、現実にはそれだけの社会保障費を国民全体で負担しておきながら、医療や介護、保険分野で頑張っている皆さんに誇りをもって業務に取り組んでもらえるだけの十分な賃金を保証することすら困難です。生産性を喪失した高齢者をこのまま全員いまの制度のままで長生きしてもらうことができない時代が、この少子化日本ではすぐ目の前にやってきます。

海外では、日本の安全さ、子育てのしやすさを示すコンテンツだとして、Netflixで放送されている「はじめてのおつかい(英語名:Old Enough!)」が話題になっています。日本人が思う以上に、実は政策的に子供におカネは使っているし、海外がうらやむほどに子育てはしやすい環境だけど、当り前のこと過ぎて「保育園落ちた日本死ね」がバズワードになってしまうぐらい平和ボケしている面はあります。

今回参議院選挙ではこのあたりの議論は残念ながら主たる争点にはならないようですが、そろそろ真面目に考えていったほうがよさそうです。本気で。

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