札幌ドームは“生き残れる”か?

2023年以降、コンサドーレのホーム全試合をドームで開催することが決定しているが、それでも年間で20試合程度。コンサートに関しても従来の5万人規模の大型コンサートではなく、2万人規模のものを年22回程度開催することを見込んでいる。

「現状の決定事項はコンサドーレだけで、その他はこれから。他にもラグビーの国際試合やプロレス、格闘技イベントの誘致などを目指すようです。しかし1~2万人規模の箱なら道内には他にも存在する。ドームにとってかなり厳しい状況が待っている」(北海道テレビ局関係者)

札幌市内にはドームの他にも、真駒内セキスイハイムアイスアリーナ(約1万人収容)、北海きたえーる(約1万人収容)など、1万人前後収容という中規模タイプの屋内型の箱が存在する。5万人規模のドームを区切ってまでコンサート使用する必然性はなく、区切ることによって音響効果に悪影響を及ぼす可能性もある。

このように、ドームの前途は決して明るいとは言い難いが、それでもこれまで地元に愛されてきたスタジアムであるのは間違いない。

「(移転は決まったが)日本ハムにとって未だにドームは大事なもの。ファウルゾーンが広いなど野球を見にくい球場ではあったが、数々の思い出、伝説が残っている。北広島の新球場は最新鋭のボールパークで楽しみだが、このような形での移転に寂しい気持ちを持っている人は多い。移転後もドームはずっと残って欲しいのですが……」(日本ハム関係者)

今年から就任した新庄監督が現役だった時代から、北海道に移転したチームは数多くの思い出を札幌ドームで残してきた。今回の一連の札幌市の対応に憤っている人もいるだろうが、ドーム自体に悪意を抱いている人は少ないはずだ。

結果的に新球場への移転が決まったが、新本拠地となるエスコンフィールドHOKKAIDOとともにドームも札幌市のシンボルとして今後も“活躍”して欲しいという人も多いだろう。しかし札幌市が発表した試算は甘く見え、見通しは決して明るいとは言えない。状況によっては“負の遺産”になりそうな予感すら漂う。赤字になった場合でも市民税、道民税で損失補填すればドームがなくなることはないだろうが、それでは市民も納得しないだろう。

当記事は「AERA dot.」からの転載記事です。AERA dot.は『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら
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