<プーチン政権とロシアへの反感と抵抗を募らせる、「旧ソ連圏」の国々。今回のウクライナ侵攻には加担せず、餓死や粛清などソ連時代の残虐行為への責任も問う声が一般市民にも広がっている:エリカ・マラト、ヨハン・エングバル>
世界地図
写真=iStock.com/Gwengoat
※写真はイメージです

隣人と仲良くするのは難しいものだ。とりわけそれがロシアの場合には――。

ウクライナで戦争が始まって以来、かつて「衛星国」と呼ばれた国々が続々とモスクワの重力圏を離れようとしている。

足元でロシアの脅威を感じるモルドバやジョージア(グルジア)から、ロシアに借りのある中央アジアのカザフスタンまで、多くの国がウラジーミル・プーチン大統領率いるロシアから距離を置き始めた。

ソ連時代の親密な関係を再検証する動きもある。かつてのソ連は「みな兄弟」と言っていたが、そんなのは嘘っぱちだと今は誰もが気付いている。みんな対等なんて話は、暴力でソ連が生まれた100年前から嘘だった。

そのソ連が崩壊してから30年を経た今、かつての衛星国の目に映る今のロシアは、単なる厄介な隣人だ。

カザフスタンは先月、5月9日の対ドイツ戦勝記念日の祝賀パレードを今年は実施しないと表明した。ロシアの、ウクライナへの派兵の要請を拒んだとも伝えられている。そしてアゼルバイジャンとの協力を深め、ロシア領を通らずに欧州へエネルギーを供給する計画だと発表した。カザフスタンの外務次官によれば、「仮に新たな鉄のカーテンができても、わが国はその裏側にいたくない」からだ。

ウズベキスタンでは、長らく外相を務めてきたアブドゥラジズ・カミロフが、クリミア半島やドンバス地方を含むウクライナの領土保全を支持すると表明したが、その後に更迭された。おそらく、ロシアからの政治的圧力があったのだろう。キルギスの外相も解任された。こちらもロシア支持を鮮明にしなかったことが理由らしい。

一方、モルドバはロシア産のエネルギーに依存しているが、ウクライナからの避難民を大量に受け入れている。そして女性大統領のマイア・サンドゥは、国内の沿ドニエストル地域における「親ロシア派」の動向を注視し、警戒していると語った。

ロシアがウクライナに侵攻した数日後、モルドバはウクライナやジョージアと並んでEU(欧州連合)への加盟を申請した。モルドバは沿ドニエストル地域を、ジョージアは南オセチアとアブハジアを、今はロシアに占領されている。