どんなかたちでも仕事は続けたほうがいい

30〜40代の働く女性は子育てや親の介護など、ライフスタイルの変化によってキャリアを考え直すこともあるでしょう。実際、「仕事を辞めようと思うんですけど……」と相談してくださるお客さまが毎月1人はいます。その度に私は、「仕事を続けた場合/辞めた場合」の「数字」をお伝えするようにしています。すると、多くの方は考え直してくれるものです。

車椅子の高齢者と介護者の手
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

フルタイムの正社員をずっと続けるのは難しいかもしれませんが、時短勤務という方法もありますし、一度退職した後にパートで働くことでも、生涯所得は大きく変わります。ニッセイ基礎研究所のレポート「大学卒女性の働き方別生涯所得の推計 標準労働者は育休・時短でも2億円超、出産退職は△2億円 働き続けられる環境整備を」によると、子供を2人持つ女性が第一子出産後に退職し、第二子の子育てが落ち着いた後、パートで復帰した場合、生涯所得が約6000万になるそうです。

一方、第一子出産後に退職し、その後復職しなかった場合の生涯所得は約2400万円です。そのため、正社員であれ派遣であれパートであれ、どんなかたちでも仕事を続けていくことをおすすめしています。

今できることをコツコツと積み重ねてほしい

特に私が大切だと思うのは、ブランクを作らないこと。細々とでも何かしら仕事をつなぎ続ければそこから人脈が生まれ、業界の変化にもついていけるのではないでしょうか。

私は20代後半の頃、前夫のモラハラで自分が希望する働き方ができない時期がありました(「お前は家のことだけやっていればいい」といった女性差別が主でした)。当時は医療事務が注目されていたので資格を取ろうか等、いろんな業界のことを調べて行き着いたのがファイナンシャルプランナーでした。

そういった意味では、外でお金を稼ぐだけが社会との接点ではありません。さまざまな事情から、実際に体を動かして働くのが難しい時期もあるでしょう。そんな時は、SNSでも新聞でも図書館でも放送大学でもいい。子供でなく自分のために、なんらかのかたちで「社会」とつながり続け、来る時に備えればいいと思います。

国も生涯現役を掲げ、長く働き続けられる環境作りを始めています。再就職が難しかった長嶺さんのような50代の人でも、今後はもっと楽にリスタートが切れる可能性は大いにあると思います。その時のためにも、今できることをコツコツと積み重ねていってほしいと思います。

(聞き手・構成=小泉なつみ)
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