大企業からの転職者が肝に銘じるべき4ポイント
一方、中途採用で管理職に採用されても「人間関係」で失敗するケースもある。労働政策研究・研修機構が調査した中途採用企業(情報システム開発業100~299人)のC社はそれまで大手企業出身の40歳以上を管理職として採用していたが2019年から採用を中止した。その理由についてこう述べている。
「彼ら(40歳以上大企業社員)がC社のような中小企業に転職するのは、より高い役職に就くことが動機であると見られ、仕事上の能力は大手企業の中で管理職になれる人々と比べるとかなり劣っている。また、大手企業からの転職者は前の会社の理念や組織文化に染まっているので、C社に転職してくると『前の会社では』といった姿勢になりがちで、C社の組織文化と摩擦を引き起こす可能性が高い。ラインマネージャーを中途で採用した部署で、優秀な若手がやる気を無くしてしまい、相次いでC社を退社するという経験をしたこともあり、上述の方針決定(採用中止)に至った」(「ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成」2022年3月)。
大企業からの転職者に対してかなり厳しい見方をしている。前職の組織文化を引きずって転職すると人間関係を悪化させ、結果的に転職が失敗に終わる事例だ。実際にそういう人が多いのだろう。
前出の転職エージェントの幹部は「転職先で失敗する人に共通するのが『我が強すぎる』『プライド高く、謙虚さに欠ける』『古巣との比較をしてしまう』『過去の地位や人脈にこだわる』という4つだ。転職先に溶け込むうえで大事なのがバランス感覚と柔軟性。あくまで新人だという意識を持ってその会社のやり方、文化を学ぶこと」とアドバイスする。
転職先の人間関係でどんな落とし穴が待っているかわからない。肝に銘じるべき言葉だ。