ギャンブラーズ・アノニマス

2011年10月にも、約100万円の借金が発覚。その時も夫婦でさんざん話し合い、反省した様子だったにもかかわらず、4カ月後にまた約70万円の借金が見つかる。

困り果てた庄司さんが県の精神保健センターに相談すると、「ギャンブラーズ・アノニマス」への参加を勧められた。ギャンブラーズ・アノニマスとは、ギャンブル問題から回復するよう、手助けし合う共同体だ。全国各地に拠点があり、参加者たちは活動の間、ギャンブルをやめることに集中する。

庄司さんは毎週日曜日、家族で車に乗って会場まで行き、妻をギャンブラーズ・アノニマスに参加させ、自分と子どもたちは併設されていた図書館で待った。

当時子どもたちは9歳と7歳。半年ほど通ったが、毎週日曜日がつぶれるのをしぶり出し、庄司さん自身も毎週の送迎を負担に感じていた。

しかも、ギャンブラーズ・アノニマスに通っていた2013年4月にも、また150万円の借金が見つかる。そのため妻は、依存症治療の病院に通院し、ギャンブラーズ・アノニマスは平日の夜間、妻一人で通うことにした。

パチンコ&スロットのネオンサイン
写真=iStock.com/Manakin
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2014年の冬、庄司さんは長男の中学受験のため、仕事が休みの日はつきっきりで勉強を教えた。当時は治療の効果か、妻の借金が治まっているように感じていたため、庄司さんは長男を私立の中高一貫校へ行かせようと思ったのだ。

その春、長男は無事、志望校に合格。その2年後、長女も同じ学校へ入学した。

庄司さんは妻に、「また借金したら、子どもたちは公立に転校させないといけなくなるからな」と言い聞かせた。