自分自身に影響する後悔は「自己正当化」で減少
一般的な後悔については、行動した後悔と行動しなかった後悔の両方とも、自己正当化(失敗したが、自分の行動選択は正しかったと思う)が、後悔を減少させる対処として有効であった。
行動しなかった後悔については、代わりの行動をする(生じた後悔を全く異なる行動で解消する。たとえば勉強しなかった後悔をスポーツで頑張ることで解消する、気晴らしをするなど)、合理化(このような結果になったことも今後の役に立つと思う)、勉強する、類似行動をする(そのときに行わなかった行動と似た行動をする。
たとえば、高校のとき勉強しなかったので、大学では勉強する)、行動変更(同じような状況になった場合、今度は行動する)によって、後悔は小さくなった。
謝罪は心から、自己正当化は限定的に使うべき
これらのことから、「けんかした」「傷つけた」「約束を守らなかった」などの対人関係に関する後悔を低減させるためには、相手に謝罪することが重要である。ただし謝罪は心からの謝罪が必要となる。
単なる謝罪は、「謝罪しているのだから、許すべきだ」と相手に許すことを強制することになるし、「謝っているのになぜ許してくれないのか、許してくれないあなたも悪い」というようなことにもなりかねない。そして自分自身は謝罪することで気持ちは軽くなるが、相手にその分だけ負担をかける場合もある。相手が許してくれるかどうかに関係なく、心からの謝罪をする必要があるといえる。
なお謝罪は、後悔だけでなく、法律や規則を破ったとき(万引きをした、禁煙場所で喫煙したなど)に感じる罪悪感や恥についても、低減させることができる。
一般的な後悔に関して、行動しなかった場合に生じた後悔については、合理化、代わりの行動、類似行動などをすることで後悔が小さくなる。自己正当化は有効な方法のひとつではあるが、自分自身を省みない責任転嫁という側面もある。自己正当化を用いるときは、「自分の過ちを認めている」「大きなショックから立ち直ろうとしている」など、自分自身に対して十分な省察ができており、成長しようとしている場合などに限るとよいだろう。