研究成果に基づく後悔対象法の4分類

これまでの研究成果に基づいて、後悔の対処法を分類する。後悔の対処法には大きく分けると2つの次元がある。ひとつ目の次元は、その後悔した出来事に対する考え方や受け止め方を変えることで後悔を低減させようとする心理的対処と、実際に何らかの行動をすることによって後悔したことに対処しようとする行動的対処である。

もうひとつの次元は、後悔が生じた出来事や後悔した状況などに対して真摯しんしに向き合い、前向きに対処するというポジティブな方法と、それらに対して正面から向き合わず、後ろ向きな対処をするというネガティブな方法である。図表2は、心理的対処と行動的対処、ポジティブな対処とネガティブな対処という2つの次元によって、様々な後悔対処法を簡単にまとめたものである。

ポジティブな心理的対処法とは、「このような出来事も、今後の自分にとってよい経験になる」という合理化、「後悔した出来事に対して真摯に向き合い、自分の行為を省みる」という反省、そして、「悪いことが生じてしまった原因や結果を受け入れ、納得する」という結果の受け入れなどである。

ネガティブな心理的対処法は、「このようなことが起こったのはしかたがなかった」という自己正当化、「自分のせいであることを認めない」という否認、「解決しないといけないことから目をそむける」「問題の解決を先送りにする」という先延ばし・先送り、そして、そのことについて何も考えないようにすることなどである。

「時の流れに身をまかせる」も1つの対処法

ポジティブな行動的対処法は、「今後このような失敗をしないように知識を深め、スキルを磨き、能力を高める」という努力、「悪い結果となった行動とは別の行動をすることによって、後悔したことを取り戻す」という代わりの行動、「喜ぶ」「褒める」「同情する」などのような感情表出、そして「相手に対して真摯に謝る」という謝罪・償いなどである。

ネガティブな行動的対処法は、逃避(悪いことが生じた出来事から逃げる、関わらないようにする、やつあたりをする、他の行動に逃げる)、感情表出(怒り、敵意、嫉妬、悲嘆、軽蔑をする)、および何もしない(特に何もしない、考えないようにする、時の流れに身をまかせる)である。