MCが絶対に面白くしてくれる安心感
番組プロデューサーの辻有一も「番組の根底にあるのは川島さんが、必ずこちらの意図を拾ってくれるという安心感でしょうか。だからスタッフもVTR作りを楽しめる。出演者たちがクイズの解答で大喜利を始めたのも同じ理由だと思います」(「ヤフーニュース特集」2022年4月1日)と語っている。
それを裏付けるように、この番組でプレゼント応募用のキーワードで「ラヴィット涙の最終回」「ラヴィット深夜へお引っ越し」「ラヴィット実は収録だった」などと設定し物議を醸す「悪童」キャラの相席スタート・山添は川島について「僕たちがクイズでも大喜利でも思いっきりやったら絶対におもしろくしてくれるんです。そういう絶対的なお笑いパワーのすごさがある。
「なかなかええ答えを思いつかんくて、自分の中で50点のボケをそのまま出すときもあるんですよ。そしたら川島さんも千鳥さんもめちゃくちゃいろんな調理して150点にしてくれる」(「QJWeb」2022年4月12日)と語っている。
「じゃない方芸人」の苦しみ
麒麟はデビューして間もなくほぼ無名の頃に「M-1グランプリ」の決勝に進出。ダークホース的存在を意味する「麒麟枠」という言葉ができるほどの衝撃を与えた。
さらに相方の田村裕の書いた『ホームレス中学生』がベストセラーになった。川島は、時にはマイクすらつけられない「じゃない方」という扱いと「M-1の呪縛」という二重苦を背負ってしまう。
この状況をなんとかしなければならない。川島はピンネタライブを始め、これまで麒麟ではできなかったことを模索した。
すると、2010年の「R-1ぐらんぷり」で決勝進出。そこから「アメトーーク!」などに呼ばれ始めた。その翌年に放送された同番組の「第11回持ち込み企画プレゼン大会」(2011年6月30日)が大きな転機となった。
ここで「めちゃくちゃ手榴弾入れてるし、ナイフ入れてるし、絶対殺したろと思ってる」(「あちこちオードリー」2021年7月28日)という思いで考え抜いた渾身の2つの企画(「エエ声芸人」「先輩に可愛がってもらえない芸人」)をプレゼン。すると、それが視聴者投票で1位・2位を独占したことで評価が急上昇した。