2021年3月から始まった朝の帯番組「ラヴィット!」(TBS系)が快進撃を続けている。他局がワイドショー形式の情報番組を放送する一方、お笑いに特化した独特のスタイルを確立しつつあるのだ。ライターの戸部田誠さんは「MCの川島明さんのお笑いへのこだわりがすごい。『笑っていいとも!』のような長寿番組になるのではないか」という――。

今までの朝の情報番組とは全く違う「ラヴィット!」

番組開始から1周年を迎えた「ラヴィット!」の名シーンを振り返ったVTRを見てゲストのサンドウィッチマン・富澤たけしは驚きの声をあげた。

「これ本当に朝の生放送? 僕が知っている生放送のルールとはちょっと違う」

そう、「ラヴィット!」はこれまでの朝の生放送番組と大きく異なるのだ。

朝の帯番組「ラヴィット!」は、2021年3月29日から「日本でいちばん明るい朝番組」を掲げて始まった。

朝の情報番組といえば、ワイドショー的な番組全盛。しかし、この番組は社会問題やスキャンダルはもちろん、芸能ニュースすら扱わないというスタイルを打ち出した。

司会はお笑いコンビ麒麟きりんの川島明。芸人仲間やお笑いファンからは高い実力が認められていたが、番組開始時には地味な印象が拭えなかった。

だから当初は、視聴率が良くないだとか、MCが川島では地味すぎるなどといった批判的な声もあがっていた。

朝の情報番組ではなく、もはや大喜利番組

そんな中、にわかに反応し始めたのはお笑いファンだった。VTRの合間に、その商品に関するクイズが挟まれる。それ自体はよくあることだが、ひとたびクイズが出題されると、出演者たちの大喜利合戦に突入していたからだ。

ゲストに訪れたすゑひろがりず・三島が「にぎやかな大喜利番組と捉えております」と言うように、この番組におけるクイズ=大喜利という認識はやがて浸透。

芸人たちはもちろん、本来ボケる必要のないはずのアイドルや俳優たちまでもボケ回答を競い合って出し始め、うっかり早々に正解を出してしまった日向坂46・松田好花が泣いてしまうというハプニングまで起こってしまうほど。

大喜利合戦が盛り上がりすぎると「時間がないので正解してください」といった普通ではあり得ないスタッフからのカンペまで出される。

大きな話題となった「水曜日のダウンタウン」(TBS系)での「『ラヴィット!』の女性ゲストを大喜利芸人軍団が遠隔操作すればレギュラーメンバーより笑い取れる説」もこうした土壌があってこそ生まれたものだ。