会社にあふれた“不公平”なトレード

たとえばあなたは、職場でこんな状況を味わったことはありませんか?

・いわゆる「ブラック企業」で、パワハラが横行し、上司や経営者によって厳しいノルマを課され、サービス残業の連続で、睡眠時間もろくにとれない。
・形骸化した意味のない会議や打ち合わせ、手続きに、やたらと時間をとられる。
・「一番年下である」「女性である」などを理由に、ほかの人がやりたがらない雑用を押しつけられる。
・上司や同僚に仕事の邪魔をされたり、手柄を横取りされたりする。
・良かれと思って同僚の手伝いを申し出たら、どんどん仕事を押しつけられ、ミスの責任まで負わされる。
・やる気のない部下の教育を任され、仕事の足を引っ張られ、ストレスばかりがたまっていく。
・クライアントが、代金に見合わない無茶な注文ばかりしてくる。

ビジネス的リーダーシップの抽象的な構成
写真=iStock.com/FreedomMaster
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本来、あなたと経営者、あなたとクライアントは、給料や代金と引き換えに、あなたがそれにふさわしい時間や労働力、能力、あるいは商品やサービスなどを提供するという、フェアなトレード関係にあるべきです。

また、あなたと上司、あなたと同僚も、互いの利益、互いの幸福のために、フェアに時間や労働力、能力、アイデアなどをトレードし合う関係にあるべきです。それこそが健全で公平な人間関係だと、私は思います。

ですが、社員や仕事を受注する側は、しばしば経営者やクライアントから、不公平なトレードを要求され、我慢を強いられます。

あなたを苦しめている“不公平さ”に気づいてほしい

世の職場には、「自分だけが得をしたい」「自分の存在感を示したい」「少しでもラクをしたい」「自分の身の安全さえはかれればいい」「自分より目立つ人間は許せない」といった思いを抱え、あなたの真面目さや善良さ、罪悪感、立場の弱さなどにつけ込み、利用しようとする人間が少なからずいます。

彼らは「社会人とは~であるべきだ」「管理職とは(部下とは)~するべきだ」「お客さま(お金を払う側)は神様だ」といった一方的なルールを押しつけ、あなたの領域を平気で侵害し、あなたの時間や労働力、能力を、さらにはあなたの価値観やルール、幸せで穏やかな生活、人生そのものさえ奪っていきます。

今までのあなたは、もしかしたら、そうした他人のルールを疑うことなく受け入れ、「社会人とはそういうもの」「自分は管理職だから(もしくは部下だから)仕方がない」「自分は仕事をもらう立場だから仕方がない」と、不公平なトレードをおとなしく許していたかもしれません。