死ぬ年齢は“予定通り”にいくとは限らない

なお、このサンプルでは、60歳でリタイアしたとすると、年金を受給できる年齢(たとえば65歳)までは「年額220万円の再雇用やアルバイト」に就くか、1億円に追加で1100万円(220万円の5年分)を蓄えておく必要があるということになります。

または、最初の5年間は収支差額の「-120万円」を元本から取り崩しておき、65歳以降に毎年の収支が「+100万円」となってから6年間で穴埋めする、と考えてもいいでしょう(この説明では、簡略化のために60歳時〜71歳時までに発生する複利の効果は度外視しましたが、1億円に対しての「-120万円」ですから誤差の範囲であり、71歳までには穴埋めは完了するでしょう)。

細かい計算はさておいて、大事なことは「60歳までにエターニティを確立する」ということです。「エターニティを確立する」のがなぜ大事なことかというと、「いくつまで生きるかわからないから」です。「いくつまで生きても、ずっと安泰」な状態を創り出しておくことこそが、「真の安心」につながります。

先ほど「現在60歳の男性が、100歳まで生きるのは稀だ」と書きましたが、実際には105歳まで生きるかもしれませんし、61歳で急死するかもしれないのです。それがわからない以上、「いくつまで生きても、ずっと安泰」な状態を創り出しておくことが必要なのです。

「つかい切るプラン」では不安からは解放されない

一方で、次のような考えは、御法度です。

たとえば現在45歳の人が「60歳までに5000万円貯めておいて、手取り5%で運用していけば、105歳くらいまでもつだろう。その頃には元本もつかい切っているだろう」などと考えてはいけません。今から60年後には105歳では死ななくなっているかもしれないからです。

もちろん、105歳まで生きないかもしれません。しかし、寿命が短い場合は問題ありませんが、寿命が長くなった場合には、「つかい切るプラン」は破綻の原因になります。それに、「つかい切るプラン」は「先細りのプラン」なので、結局「不安」から解放されません。だからダメなのです。