お金の不安を解消するには、どれだけの資産が必要なのか。アメリカ発の「FIREムーブメント」では、年間の生活費(年間支出)の25倍の運用資産があれば、あとは「年率4%」の運用益で生活費をまかなえると主張している。会計学博士の榊原正幸さんは「日本では“4%ルール”は荒唐無稽だ。アメリカを基準にした数字を信じてはいけない」という――。

※本稿は、榊原正幸『60歳までに「お金の自由」を手に入れる!』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

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「FIREムーブメント」とは結局なんなのか

日本ではまだあまり耳慣れない人も多いかもしれませんので、「FIREムーブメント」とは何かについて説明します。

「FIRE(ファイア)」とは「Financial Independence: Retire Early」の略です。日本語にすると「経済的自立と早期退職」です。そして「ムーブメント」とは「動き」という意味です。「FIREムーブメント」とは、会社などからの収入に依存することなく、経済的な自立を確立して、人生における比較的早期の段階で会社を退職してしまい、自由に暮らそう! という動きのことをいいます。2000年頃に「ヤンリタ」といわれていたものと同じです。

この「FIREムーブメント」は、2010年頃からアメリカの「ミレニアル世代」の間で流行っているようです。

ミレニアル世代とは、2000年に20歳になった人たちと、それよりも最大15歳若い人たちの総称です。すなわち、1980年~1995年に生まれた人たち(2022年の時点で27歳〜42歳くらいの人)の間で、「できるだけ早く会社を退職してしまい、自由に暮らそう!」という気運が高まっていて、現在まで続いているということのようです。