日本の株式市場では「7%以上の年率利回り」は期待薄
これらについて、さらに深掘りします。
1の「『4%ルール』は日本にも当てはまるとは限らない」という点についてですが、戦後開所来の日経平均株価(またはTOPIX)と物価上昇率の「長期的な成長率の年率の平均値」がどのくらいなのかというのは、各種の資料を検討したり、インターネットでググったりすればわかるかもしれません。
しかし、2に述べたように、それらのデータをもとにしたところで、「過去はそうだった」というだけに過ぎず、日本の株式市場が未来永劫、その率で成長するとは限りません。ただ、後述しますが、ある程度の期待は持てるとは思いますが。
なお、75年もの超長期の正確なデータではありませんが、私の手もとに過去40年分の日経平均株価のデータがあるので、そのデータで日経平均株価の「長期的な成長率の年率の平均値」を算出してみました(複利で計算しました)。
2000年の年初~2019年末までの20年間 1.12%
1990年の年初~2019年末までの30年間 -1.65%
1980年の年初~2019年末までの40年間 3.26%
このように、日本でも最近の10年間は7%以上の年率利回りになっていますが、20年間と30年間では全然ダメです。20年前は「ITバブル」の頂点からの計測になるため、そして30年前は「1980年代後半のバブル」の頂点からの計測になるため、全然ダメなのです。
日本では「4%」での運用も難しい
40年間でも3.26%なので、7%ということはありえません。私の肌感覚ですが、この40年間の物価上昇率は、約2倍です。たとえば、名古屋の喫茶店のコーヒーが1杯230円→450円で約2倍とか、国立大学の授業料(年額)が30万円→53万5800円で約1.8倍とかです(レギュラーガソリンの価格は、原油価格という国際価格と為替に依存しながら大きく変動するので、ここでは度外視しました)。
40年間で2倍というのは年率換算にすると1.75%なので、差し引きでは(3.26%-1.75%=)1.51%となり、物価上昇には打ち克っていますが、日本では「4%」にはほど遠いです。