属人性はスモールビジネスの参入戦略として最高

まず自分の攻撃対象となる獲物を見つけよう。

とはいえ、会社やサービスは数え切れない程存在する。そんな中で、この探査領域をどのように絞り込んでいけばいいのか悩むだろう。

本書では初心者向けを意識して「自分の強みから絞り込んでいく」方法を紹介しよう。スモールビジネス上級者になると、対応可能な事業領域は拡大出来るが、まずは自分の強みから絞り込んでいくことを第一歩にしよう。

手持ちの武器はなにか?

基本的にスモールビジネスの武器は自分である。特にスモールビジネス立ち上げ初期は属人性で戦うことを基本とする。属人性はスモールビジネスの参入戦略として最高である。

仕組みとして大手企業に立ち向かうことはほぼ不可能であるが属人的な各個撃破であれば十分可能なのである。

例えば何故、外食市場は常に新店舗の参入が可能なのか。根源的には各店舗を運営する人間の能力にその競争力が起因するからである。つまり属人性で参入が可能だからだ(ただし飲食の場合は競争が激しすぎて成功出来るかは別問題である)。

これはコンサルティング、人材派遣、不動産運用など様々なスモールビジネスでも同様である。属人性はスモールビジネスが成立するためには必須なのだ。

逆に属人性が低い、技術で勝負する業界では自分が特異な技能者である場合を除き、スモールビジネスは成立しづらい。

仮に法人向け営業のシーンを考えると、どの会社から買うかよりもどの担当がつくかが重要であることは多いだろう。メディア運用でも「特定のコンテンツに専門性を持つライター集団など、属人性が機能する。

そのような属人性の高いビジネスは大手と言えど鉄壁の要塞によって市場への侵入を完全に阻むことは困難であり、スモールビジネスが攻撃対象にしやすいビジネスである。

「人は一見やりたくないが、自分はやりたい」ことがあるか

2種類の競争力発生源

ここで、競争力には「仕事を通じて得られるもの」と「趣味を通じて得られるもの」の2つの発生源がある、ということについて解説する。

仕事を通じた競争力

ほとんどの人は、基本的にこれまでの仕事を通じて得た競争力を活用する。分かりやすい例を挙げれば、コンサルティング会社での勤務経験がある場合は、コンサルティング関連企業の情報を調査し儲かっている会社を探すことから始めるべきである。

この段階でそれらの企業に対する優位性までを考える必要はないが調査を開始する点としては適切だろう。

趣味を通じた競争力

趣味については注意が必要である。基本的に趣味は金を生まないので、純粋な趣味から調査を開始しても儲かる方法が見つかる可能性は、仕事起点で考えるよりも格段に低くなる。しかし困ったことに「好きを仕事にしたい」と考える人は多い。

一眼レフカメラで写真を撮る男性
写真=iStock.com/Hakase_
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飲食、スポーツなど趣味の延長線上で出来る仕事は確かに魅力があるが、ビジネスとしては厳しい結果になりがちである。何故なら、限定された機会に対して大量の参入者が発生するからである。

「人が一見やりたくないことをする」というのは、ビジネスの基本である。であるからして、「人は一見やりたくないが、自分はやりたい」ということが確立されている人は非常に強い。

自分の行動原理として人がやりたくなさそうなことをやる、というのは持っておいた方が有利に戦いを進めることが出来る。