従来メーカーは消費者と距離の近いD2Cメーカーに勝てない

D2CとはDirect to Consumerの略で、“消費者と直接つながる”という意味である。D2Cメーカーとは顧客と直接取引をしているメーカーを指している。D2Cメーカーの強みは次の4つが挙げられる。

(1)ブランドコンセプトを一貫して伝えることができる
(2)消費者データの収集と活用がしやすくなる
(3)価格や販売条件はメーカーが決められる
(4)利益を顧客に向けて集中投資できる。

これらの強みを生かし、D2Cメーカーが享受できる一番のメリットは、フェアバリュー(適正価格)で顧客と取引ができることである。また消費者にもメリットがある。本当に欲しいと思える、満足できる商品を手に入れやすくなるのだ。

一方、従来メーカーは多くの場合、営業部とマーケティング部が分かれ、消費者までに卸/商社や小売店、また広告代理店やメディア媒体などが間に入る。図表2のように、D2Cメーカーと比べると消費者との距離が遠いことがわかるだろう。

さらに各プレイヤーはそれぞれの立場での利害関係の調整に忙しく、残念ながら消費者の方に向いていない。本当の意味での顧客に向けたモノづくりやコミュニケーション活動ができていないのである。

従来メーカーとD2Cメーカーのビジネスモデルの違い
画像提供=筆者
従来メーカーの課題
消費者との距離が遠い⇒消費者目線でビジネスをやりきれていない

課題の背景
(1)営業部とマーケティング部が分かれていて消費者へのコミュニケーションが一貫していない
(2)消費者からの商品へのフィードバックが届きにくい、購買データの入手や活用がしづらい
(3)価格決定権がメーカーになく、適正利益の確保やブランドコントロールが困難
(4)目を向ける先が消費者ではなく、業務上の取引先になりがちである

消費者の利益よりも流通構造を優先した商品を買わされている

そして、消費者も実はこの構造に商品を「買わされている」ことに気が付いてほしい。やや極端な言い方かもしれないが、私たち消費者が店頭で商品を選ぶ場所に並んでいるものは商社や小売が並べたものである。

例えば、メーカーが良いものを作りたくても、ターゲットがニッチだと取り扱ってもらえない、横並びの陳列では高価格な商品は売れなくなる危機感があるためなかなか価格を上げられない、集客合戦の値引き販売に巻き込まれて値崩れが起きる、といったように、メーカーや消費者のベネフィットよりも流通構造の都合を優先し、商品が作られ届けられているのである。

私たち消費者はプロダクトアウトなマーケティング活動の中で商品を選ばされている側面もあるのだ。