すごいのがこれらを緊急事態宣言が発令されてから2週間で構築したスピード感だ。徹底した顧客主義が社内に浸透していたからこそ実現できたのであろう。
スノーピークの事例を見るとD2Cの本質はあくまでも顧客に向き合ってビジネスをすることであって、デジタルはそれを補完したり便利にしたり強化するためのツールであることの学びにもなる。
消費者が満足する商品を適正価格で提供できるように
さて、これらの事例に共通することが2つある。1つ目は、消費者のベネフィットとして、今までの流通構造ではある意味消費者は「買わされている」状況だったが、D2Cや顧客志向のビジネスモデルによって、自分に合う満足できる商品を自分で調べて手に入れやすくなったこと。2つ目はメーカー側のベネフィットとして、消費者が満足してくれる商品をフェアバリューで提供できるようになることである。
いかがだろうか。日本には数多くの素晴らしい商品、ブランド、屋号が存在し、日本独自のモノづくり文化を形成してきた。現在、多くのメーカーは競争環境が厳しく不確実な世の中で「DX」を活路に見いだそうとしているかもしれない。そのときメーカーが目指すべきは、消費者への価値提供にこだわったD2Cビジネスを、デジタルを活用して徹底的に行うことであると言えるのではないだろうか。
そして、メーカーは顧客の声を聴き、顧客もメーカーの姿勢を評価する。これまで続けてきたモノづくりを継続するのではなく、メーカーと顧客がデジタルでつながり対等な立場でモノづくりをアップデートし続け、フェアバリューで価値提供される未来を望みたい。メーカーのD2Cへの取り組みが加速し、日本のモノづくり全体がアップデートされていくべきであるとGROOVEでは提唱している。