(8) 苦情に耳を傾ける

しなやかな組織は苦情を言う人間を無視したりはしない。彼らの声を聞いて学習するのである。苦情はもともと不愉快なものだ。しかし、しなやかな企業は、苦情はチャンスでもあるということを理解している。だから、しなやかな企業は、顧客の不満だけでなく社員の不満も浮かび上がらせ、対処するメカニズムを内部に備えている。

それは、「現場の」人々だ。パフォーマンスを高めるためには、こうした人々の意見を引き出す方法を見つけなければならない。とりわけ社員については、苦情を言っても報復されないという安心感を持たせる必要がある。しかし、問題視されている行動を認識し、対処するために組織が何も手を打たなければ、これらはすべて単なるジェスチャーで終わってしまう。

(9) 同じ方向に進ませるように動機づけ要因を与える

しなやかな組織は、ある行動であなたに見返りを与え、それと正反対の行動であなたを昇進させるようなことはしない。すべての金銭的動機と金銭以外の動機が同じ方向の推進力を与える。「会社にとって正しいことをすべきだということはわかっているが、私が上司から受け取っているシグナルはそうではない」という状態は存在しない。しなやかな組織のもう一つの特徴は、平均以上のパフォーマーと平均以下のパフォーマーを明確に区別するパフォーマンス評価システムだ。

(10)過去の栄光にあぐらをかかない

しなやかな組織は自己満足しない。それどころか、ちょっとした偏執的こだわりはよいことだという見方をとる。しなやかな企業は、異論の余地のない成功にもかかわらず、けっして勝利にほくそ笑んだり、満足したりはしない。すぐれた仕事に対してはまず見返りを与え、それから目標ラインを引き上げる。市場リーダーの地位を維持するためには、成功をひけらかすことより組織の微調整を行うことに時間を使う必要がある。現に、多くのしなやかな企業が、どれほどおもねった取り上げ方であってもメディアに取り上げられることはひどく嫌っている。重要なのは測定されるもの、すなわち結果なのだ。

※この記事は、『Results:Keep What's Good, Fix What's Wrong, and Unlock Great Performance』の要約です。

(文=ゲーリー・ニールソン、ブルース・A・パスタナック 翻訳=ディプロマット)