帰属意識の高まりと同時に、「仲間うちで褒め合いをする」ナルシシズム消費も最近の傾向として挙げられよう。
異性にモテたいという志向ではなく、仲間を意識するがゆえの消費である。このナルシシズム消費は世界的な傾向のようだ。ルディー氏は言う。
「男女関係なく、自分が憧れの対象になりたいという志向は欧米でも同じですが、日本では特に女性において顕著ですね。宝島社のファッション誌の読者がしているようなお姫様ルック。はっきり言って、男性は引いちゃいますよね(笑)。あれはもう自分たちのグループの中で褒め合っているだけ。異性の目は少しも意識していない。
これは草食系男子にも見られる傾向です。異性の目を気にして格好つけることがなくなると、ブランド品が売れなくなる。異性を意識しないというのは人類史上初の現象です。日本はその最先端をいっていますね」
彼女をつくるには車が必要だ、とは考えない。モテファッションに身を包もうとも考えない。中心にあるのは何より仲間の目に映る自分だ。私たちは、自意識が過剰に膨れあがった人類史上初のナルシシスト消費者の出現に立ち会っているようだ。
※すべて雑誌掲載当時
(永井 浩=撮影)