こうした時代に強いのは、コミュニティのコアになるような商品を持つ店や企業だ。小阪裕司氏は主宰する会のメンバーであるクリーニング店の例を挙げる。
「一世帯当たりのクリーニングの支出額は1993年をピークに半分ぐらいにまで減っていますが、その店は過去最高の売り上げを挙げています。しかも他店より2割も3割も高い値段をつけている。それでも繁盛しているのは、お客さんとの絆づくりに真剣に取り組んでいるからです。
店内にルパン人形を隠して、お客さんに探してもらうイベントや、ポイントを貯めると店長の頭にバリカンを入れられる権利をもらえるイベントなど、お客さんが用もないのに立ち寄りたくなる取り組みを熱心に展開している。ハーレーダビッドソンのファンが集うイベントや矢沢永吉のコンサートなども同じです。タオルを肩に掛けるだけで一体感が生まれますからね(笑)。
絆づくりはエネルギーが必要ですし、成果が出るまで時間がかかるので企業はやりたがりませんが、顧客との関係や顧客同士の関係が強まればクレームはなくなる。選ばれる存在になります」