「楽しさ」を感じる車
マツダ・ロードスターは1500ccで132馬力しかないが、実際に運転してみるとパワー不足という感じはまったくしない。周囲の車と比較すれば、それほど速くないということはすぐに気づくが、単独で走っていれば爽快な加速感で気持ちがいいのだ。
MTの設定も絶妙で、エンジンを高回転まで回しても非現実的な速度にはならず、ガソリンエンジンの気持ちよさを味わいながら小気味よい変速が可能だ。シフトチェンジそのものが快感、といってもいいほどだ。だからMTを運転できる人であれば、オートマチック車を買おうとは思わないだろう。MT比率の高さも納得である。
コンパクトなボディサイズと俊敏なステアリングで車との一体感も味わえ、日本の狭い山道でもひらひらと舞うように走り、すこぶる楽しい。この楽しさは、ほかのどんなに高価なスポーツカーでも味わうことのできない、ロードスター独自のものだ。屋根を畳んでオープンで走れば、自然とも一体感を感じられ、爽快この上ない。
再発見されたロードスターの魅力
価格も200万円台半ばから買うことができ、若者でも(楽に、とはいえないまでも)十分手が届く。燃費も良く、通常のコンパクトカー並みの燃料代で済む。つまり環境に対する罪悪感も最小限で済むということだ。
こんな車は世界にこれしかない。この車にはガソリン車を運転する楽しみが極めてピュアなかたちで凝縮しており、それを手軽に味わえるのだ。
世界中のガソリン車を楽しみたい、運転を楽しみたいと思っている多くの人が、このロードスターを「再発見」し購入に至り、それが販売増につながっているのではないだろうか。