出産前の「経験格差」が女性の意識を左右する

今回の財団調査でも、26〜40歳まで職場において男女の仕事上での経験について聞いたところ、「一皮むける経験」や「部門を横断するような大きな異動」「昇進・昇格による権限の拡大」で男性に比べ女性が経験が少ない「経験格差」が明らかになっている。

女性が管理職を目指さない理由としてよく指摘されるのが「仕事と家庭の両立の困難」だ。男性の家庭進出が進まない現状では、まだまだ女性に家事育児負担が偏っているので、家庭と管理職の仕事の両立を躊躇する気持ちは確かにあるだろう。だが、もし出産前にやりがいのある仕事を体験できていたら、もう少し女性たちは管理職・リーダーを目指そうと思うのではないだろうか。

男性と比べて、女性は「昇進・昇格」や「部門横断の異動」の経験が少ない(出所=21世紀職業財団「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」)
男性と比べて、女性は「昇進・昇格」や「部門横断の異動」の経験が少ない(出所=21世紀職業財団「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」)

実際に調査では、職場の上司が高い目標、少し困難な仕事を与えている女性ではキャリア志向が高いという結果が出ている。「夫婦お互いがそれぞれのキャリアアップを目指す」と答えているのだ。

調査ではマミートラックを脱出できた理由(複数回答)も尋ねているが、ここでも上司の役割が大きい。5割弱の女性が「上司に要望を伝えた」「上司からの働きかけ」がきっかけだったと答えている。前出の大学院卒夫婦の妻も、もう少し広がりのある仕事をしたいと上司に働きかけたという。

他にもインタビューでは、入社数年目で出産し、キャリアのローテーションから外れ、やりがいを喪失した女性が、上司に願い出て異動した部署で試行錯誤したことで自身の成長を実感できたと答えている。

意識は高くても平等に家事分担できる夫婦は少ない

脱マミートラックの手段としてもう1つ有効なのが、家事育児負担をいかに軽減させるかだ。調査でも「夫に働きかけて夫の家事・育児時間を増やした」という回答が目立ったが、山谷さんたち調査チームが実感したのは、ミレニアル世代の男性たちは、自身も子育てにかかわりたいという気持ちは強いということ。

男性の7割近くが、子どもの生まれる前は夫婦で同じように育児にかかわるべきだと考えているが、そう答えた人ですら実際子どもが生まれたあと、平等に分担できている人は少ない。