この現象を、「血糖値スパイク」といいます。「スパイク」というのは鋭く尖ったという意味で、シューズスパイクの先端のように、血糖値が急上昇して急降下する様子を表しています。

そして、日本での調査によると、居眠りをした学生は居眠りしていない学生と比べ、食後の血糖値の変動が激しかったという報告があります。逆に、変動が少なかった学生は居眠りが少なかったことが報告されています。

つまり、血糖値スパイクを防ぎながら糖をとれば、眠くならず集中できるのです。

脳に効率よく栄養を届けてくれる食材とは

では、ランチ後に血糖値スパイクを起こさないようにするにはどうすればいいのか。それは、ランチで「低GI食」を摂ることです。

GIとは、グリセミック・インデックスの略で、食品に含まれている糖質がどれだけ血糖値を上げるかを、ブドウ糖を100として相対的に表した数値です。

前述したように、脳をしっかり働かせるには、糖というエネルギーが必要です。しかし、急激に血糖値を上げると血糖値スパイクが起きてしまう。

そこで、低GI食が力を発揮します。一時期ダイエットで話題になった低GI食ですが、糖質が摂れて血糖値の上昇は緩やかという特徴があるのです。まさに、「脳に最適な食事」です。

低GI食かを見極めるポイントは3つ。

①甘すぎるものは要注意
②炭水化物は白より黒い色の食べ物
③食物繊維が多いこと

です。

低GIの食品は、意外と身近に多くあります。例えば、肉や魚、乳製品などは総じて低GIです。食物繊維が豊富で糖質が少ない緑黄色野菜や、りんごやグレープフルーツも低GI。さらに、炭水化物でも蕎麦やライ麦パン、玄米などは低GI食になります。

実際にスウェーデンのランド大学が行った49~71歳を対象とした研究では、低GIのパンを食べると75~225分後の認知テストのスコアが上がったと報告されています。

フランス・ナンシー大学のリサーチでも、若い成人が低GI食を朝食に摂ると、150~210分後に記憶力が改善されることなども報告されています。

カフェで仕事をしている眠そうな男性
写真=iStock.com/FluxFactory
※写真はイメージです

集中したい日は低GIを意識したランチにする。それだけで、午後の脳の働きが変わります。

私もこのことを知ってから、午後に大切な仕事があるときは低GIを意識し、昼食での糖質の摂りすぎに気をつけるようになりました。

おかげで今は午後になっても一日中、集中力を切らさず仕事ができています。

エナジードリンクは短時間では効果的だけど…

昼食のタイミングだけでなく、集中したいときの前に低GIの「間食」を摂るのも効果的です。

手軽に取り入れられておすすめなのが、「高カカオチョコ」。高カカオチョコとは、一般的にカカオ成分が70%以上のチョコレートのことを指します。

シドニー大学がまとめたレポートによると、カカオ成分86%の高カカオチョコのGI値は18。これは、ミルクチョコレートの39に対し半分以下の値です。