食後の眠気を吹き飛ばし、集中するにはどうすればいいのか。脳科学者の西剛志さんは「血糖値の急激な上昇を防ぐことが重要だ。そのためには3つのポイントがある」という――。

※本稿は、西剛志『脳科学者が教える集中力と記憶力を上げる 低GI食 脳にいい最強の食事術』(アスコム)の一部を再編集したものです。

オフィスで働く眠そうな女性
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昼食後にやってくる“睡魔”の根本原因

「満腹になると、頭がぼーっとして眠くなる」。とても困る現象です。私自身、ずっとそんな体験に悩まされてきました。

一番大変だったのは大学時代です。研究室で昼食後に論文を読むことがよくあったのですが、睡魔に抵抗できず苦労しました。

決して眠りたいわけではない、読みたい気持ちはあるのに集中できない。その状況に、自分はなんて意思が弱いのだろうと悲しくなっていました。

しかし、そんな困った現象を解決する方法があることが、最新の脳科学研究からわかってきました。それが「低GI食」です。

子どもの頃、学校の先生から「眠くなるのは胃に血液が集まって、脳に栄養がいかないからだ」と説明されたことをよく覚えています。

当時はなるほどと思っていましたが、実は血液が問題なのではなく、脳のエネルギー不足と脳内物質に原因があるということが最新の研究でわかってきました。

食事後の眠気は「血糖値スパイク」のせい

脳がエネルギーとして直接利用できるのは、炭水化物の中に含まれる糖質です。糖質は、胃や腸の消化管で分解・吸収され、ブドウ糖として血液に流れ込みます。

それをエネルギー源として、脳は集中力、記憶力、実行機能、認知力、セルフコントロール力などを発揮しています。

ただこのブドウ糖、やみくもに多く摂ればいいというわけでもありません。精密機械以上に精密な人間の体は、そう単純ではないのです。

通常、ブドウ糖が入ってくると、すい臓がインスリンというホルモンを分泌して、細胞に糖を取り込むよう司令を出します。それにより一時的に高くなったブドウ糖の濃度(血糖値)が元に戻ります。

しかし、大量のブドウ糖が一気に流れ込むと、すい臓が「間に合わない!」と慌てて、インスリンを大量に放出してしまいます。すると、過剰なインスリンの働きによって、本来脳に回す分のブドウ糖まで吸収され、脳がエネルギー不足を起こすのです。