スマホ銀行への転換か、大手DX企業の傘下に入るか

ペイロールやスーパーアプリは、ユーザーにとっては画期的なサービスであり、DX企業などには事業拡大のチャンスとなる一方、地銀にとっては逆風だ。

GAFAなどDX企業は概して、①経営スピード、②テクノロジー、③デジタル人材で勝る。既存の銀行と違って、余剰人員と余剰店舗を抱えていないことも強みだ。

地銀には、①店舗をゼロにしてスマホ銀行に転換する、②大手DX企業などの傘下に入り、銀行免許を生かし、グループの銀行部門として生き残る、といった究極的かつ大胆な経営判断が求められる。近隣行との合併などの再編や持ち株会社化、リストラ・コスト削減だけでは、明るい展望が見えてこない情勢だ。

スマートフォンでネットバンクを利用
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このままでは「下請け」になる可能性も

幸いなことに、すでにその動きは出てきている。①に関しては、まさに「みんなの銀行」と「UI銀行」が挙げられる。②に関しては、「第4のメガバンク」構想を打ち出し、新生銀行も傘下に収めたSBIホールディングスによる島根銀行や福島銀行などとの資本業務提携が挙げられよう。

地銀は、DX企業など異業種の台頭を受け入れ、屈するのか、それとも独自・独力で対抗するのか、岐路に立たされている。ふくおかFGや東京きらぼしFGのようにリスクを取り果敢に挑戦することなく、現状維持をするままでは、GAFAをはじめ大手DX企業の下請けとなってしまう日もそう遠くはないだろう。

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